遺言書の内容と異なる遺産分割協議はできる?
2019年08月30日
こんにちは!
朝晩、少し涼しくなってセミの声もあまり聞こえなくなってきましたね。
少しづつ秋の気配がします
さて、今日は当センターでよく相談される「遺言」についてです。
当センターでは相続税の申告相談も受け付けておりますが、その際よく相談いただくのが、こちら↓です。
Q.父親が亡くなり、遺言書が見つかりました。しかし遺言書の内容に納得がいかないため、そのとおりに相続を進めずに、相続人で話し合って遺産分割を行いたいです。それは可能なのでしょうか?
A.遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることは可能ですが、条件によっては異なる分割ができないこともあります。また、不動産がある場合は登記の際に注意が必要です。
原則として、遺言書に書かれた内容は、被相続人が亡くなったときに効力が発生します。しかし、相続人の全員が遺言書の内容を把握した上で、遺言書とは異なる内容の遺産分割を行うことに合意している場合には、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。この点において国税庁は、『受遺者が事実上放棄をし、共同相続人間で遺産分割が行われたものとみる』としています。
●異なる遺産分割協議ができない場合とは?
ただ、以下の場合には遺言書と異なる遺産分割協議はできません。
(1)相続人全員の同意が得られていない場合
(2)相続人以外の受遺者がいて、その受遺者の同意を得られていない場合
(3)被相続人が遺言書の内容と異なる遺産分割協議を遺言書で明確に禁止している場合
(4)遺言執行者が設定されており、遺言執行者が遺言と異なる遺産分割協議に同意しない場合
※(4)の場合には、一旦遺言書どおりの相続を行った上で、新たな契約として財産の移転を行う必要があります。
●遺言書と異なる人物に不動産を相続させたい場合は?
『Aに不動産を相続させる』と遺言書に明確に相続人が指定されており、遺産分割協議でBに不動産を相続させたい場合は、まずAに相続を原因とした所有権移転登記を行った上で、Bが贈与、または交換を原因とした所有権移転登記を行う必要があります。ただし、A、Bが法定相続人で、特定受遺者でなければ、これにより新たに贈与税等が課税されることはありません。
遺言書と異なる内容の遺産分割を行う際は、ケースによって異なるため、事前に専門家に相談してから対処しましょう。
どうでしょうか?遺言と異なる遺産分割は遺産分割協議が必要になります。相続人が多くなれば多くなるほど、遺産分割協議は難航します
また相続税が発生する可能性がある場合は、相続税の申告期限も考慮し話し合いを進めることになります。
当センターでは相続税のシミュレーションも行っております。相続税を考慮した遺産分割をお考えの場合はぜひご相談下さいね。