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相続放棄は生前にはできない?代替策とその注意点を解説

相続は多くの人にとって避けては通れない問題です。特に、生前に相続放棄を希望する方々がいる一方で、法律上、生前の相続放棄は認められていません。では、将来の相続トラブルを避けるために、どのような対策が考えられるのでしょうか?この記事では、生前に相続放棄したいと考える方向けの代替策とその注意点について解説します。

 

生前の相続放棄はできない

生前に相続放棄をすることは、法的には不可能です。例えば、相続人から「相続しません」との念書を受け取っても、その念書には法的な効力はありません。このような状況では、被相続人の死後、相続権を主張された場合に対抗することができません。

生前に相続放棄してもらいたい場合の対処法

遺言書の作成

特定の相続人に相続させたくない場合は、その旨の遺言書を作成します。しかし、遺言書だけでは遺留分の問題が残ります。遺留分は、法律で定められた最低限度の相続分です。

遺留分の放棄

遺留分を有する相続人は、家庭裁判所の許可を得て、生前に遺留分を放棄することができます。ただし、この制度は遺留分の放棄にあたり、相続権自体は失われません。

推定相続人の廃除

被相続人が、遺留分を有する相続人から虐待などを受けた場合、その相続人の相続権を家庭裁判所に申立ててなくすことができます。ただし、この申立てが認められるケースは多くありません。

生前贈与

遺産を特定の相続人に渡したくない場合、生前に贈与する方法があります。しかし、この方法では遺留分の問題が発生する可能性があります。

相続欠格

特定の重大な事由に該当する場合、相続人は法律上、自動的に相続権を失います。これには、被相続人を故意に殺害した場合などが含まれます。

死後に相続放棄する方法

相続放棄は、被相続人が亡くなった後にのみ可能です。相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述を行います。相続放棄の期限は、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内です。この期限内に手続きを完了させなければ、相続放棄する権利を失う可能性があります。相続放棄の手続きは複雑であり、必要な書類も多いため、早めに専門家に相談することが重要です。

注意点

相続放棄にはいくつかの重要な注意点があります。最も重要なのは、相続放棄は全ての相続財産に対して一括で行われるということです。つまり、相続財産の一部を選んで放棄することはできません。また、相続放棄をすると、その人の相続分は存在しなかったものとみなされ、その分の相続財産は他の相続人によって分割されます。

相続放棄をする場合、相続財産の調査が非常に重要です。負の遺産、つまり負債が多くを占める場合には、相続放棄が賢明な選択となり得ますが、相続財産の全貌が明らかでないと、意図しない結果を招くことがあります。

また、相続放棄の手続きは、一定の期間内に限られています。被相続人の死亡を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。この期間を過ぎてしまうと、放棄する権利が失われ、自動的に相続が成立してしまうため、迅速な行動が求められます。

相続放棄の効果

相続放棄を行うと、相続人は法律上、相続が発生する前の状態に戻ります。これにより、相続人は相続財産だけでなく、相続による負債からも解放されます。ただし、この放棄は、相続人自身だけに影響を及ぼし、他の相続人や債権者には直接的な影響を与えません。

まとめ

生前に相続放棄をすることはできませんが、遺留分の放棄や生前贈与、遺言書の作成など、相続トラブルを避けるための代替策は存在します。しかし、これらの手段はそれぞれ特定の条件や制限があり、また相続放棄には期限が設けられています。相続に関する問題は複雑であり、個々の事情によって適切な対応が異なります。そのため、相続放棄を検討している場合や相続に関する悩みがある場合は、専門家に相談することをお勧めします。お困り事がありましたら何なりと、当事務所までご相談ください。