認知症になるまえに・・・③
2019年10月11日
こんにちは
今週末、大型の台風が近づいてくるようです
今日中に屋外の飛ばされやすいものを片付け、万が一、停電などになった時のために
懐中電灯などを備えておきましょう。甚大な被害が出ないことを願うばかりです…。
さて、今週のブログは認知症について第3回目です。
認知症になるとどんな不都合が生じるかを様々な観点でみていきますが、今回は「相
続人に認知症の人がいたならば…。」です。
現代社会は高齢化社会です。今、当センターでご相談が多い案件が「父が年々体が弱く
なってきているが、相続人となる母が認知症で…。もし父が亡くなった場合どうした
らいいですか?」というご相談です。
相続人の中に認知症の方がいた場合、遺産分割協議がどうなるか皆さんご存知ですか?
実は、その認知症の方は遺産分割協議で意思表示をすることができないとみなされる
ため、その方は遺産分割協議に参加できません。ではどうするのかというと、裁判所
に「成年後見人の申立て」をしなければならなくなるのです。
成年後見人は認知症の方に代わってその方の財産などを守るため、契約行為などの代
理を行う人のことです。遺産分割協議も、認知症の方の権利(相続においては法定相
続分)が侵害されないよう監督し、成年後見人が遺産分割協議書に押印します。
問題は遺産分割協議のために成年後見人をつけると、その後もずっとその成年後見人
が認知症の方の財産管理を行うということです。
これを読まれた方は、子供である自分が成年後見人になればいいのでは?と思われるか
もしれませんが、相続において、相続人となりうる方は他の相続人の後見はできませ
ん。また、成年後見人は裁判所が選定します。今の裁判所では約7割が親族以外の専門
家(弁護士等)が成年後見人として選定されています。相続案件以外であったとして
も、家族が成年後見人として選定されることは少ないのです。
たとえば、認知症の母の世話(食事や通院などであっても)の為に母の預金を下ろそ
うとしても、成年後見人の許可が必要となります。また認知症の母の介護が難しくな
り、母の住んでいる家を売却し老人ホームに入所させようとしても、母所有の居住用
財産の売却は成年後見人が裁判所に申し立てをして認められないと売却できません。
基本的に成年後見人の役割は「被後見人の財産保護」であるためこのようになっています。
ではこのような状況になるのを避けるためには、ご相談者はどうすべきかというと
ズバリ「公正証書遺言を残しましょう。」です。
お父様がご健在のうちに公正証書遺言を作っておけば、遺産分割協議は必要なくなります。つまり、相続人に認知症の方がいても遺産分割協議書を作成するために成年後見人をつける必要がなくなるのです。
いつかは遺言を…と思っていても、いつ認知症になるかは誰にもわかりません。
また誰しも自分の最期はいつかわからないのですから…。
早めに準備をしておくことは何事も重要なのです。
台風などの準備は気象情報や過去の被害で対策にも積極的になれますが、いつかわか
らない相続については皆さん「いつかは…。」と先延ばしにされる傾向があります。
相続が始まってしまってから、認知症になってからは何の対策もできません。
この機会に「相続」について準備を始めましょう。