亡くなった後でも節税可能!相続税を抑えるための対策法3つ
2024年10月01日
相続税対策は生前から準備することが効果的と言われますが、相続が発生した後でもできる対策があります。相続税の支払いに悩んでいる方や、相続税を少しでも抑えたいと考えている方に向け、相続発生後にできる対策を3つご紹介します。
1. 死亡後でもできる相続対策とは?
相続税の対策は、生前に計画的に行うことが推奨されますが、相続発生後でもいくつかの方法で相続税の負担を軽減することが可能です。基本的には、相続財産の評価額を下げることで相続税額を抑えることが目指されます。
相続発生後にできる3つの主要な対策は以下の通りです:
- 相続財産の総額を減らす
- 各種税額控除を適用する
- 二次相続を考慮した遺産分割を行う
これらの対策を活用することで、相続税の負担を減らすことが可能です。次に、それぞれの対策を詳しく見ていきましょう。
2. 相続財産の総額を減らす
相続税は、相続財産の総額が「基礎控除額」を超えた場合に課税されます。基礎控除額は、「3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)」で計算され、これを超える部分に対して相続税が課せられます。そのため、相続財産の評価額を可能な限り引き下げることが重要です。
2-1. 小規模宅地等の特例を適用する
「小規模宅地等の特例」は、亡くなった方の居住用不動産や事業用の土地の評価額を、一定の条件のもと最大80%減額できる制度です。この特例を適用することで、土地の相続税評価額を大幅に引き下げることができます。
例えば、配偶者や同居している親族がその土地を相続する場合、この特例を適用することが可能です。適用条件を満たせば、330㎡までの居住用宅地について80%の評価減が認められるため、相続税額を大きく抑えることができます。
2-2. 土地の正確な評価をする
土地の評価額は、路線価や地価を基準に計算されますが、土地の形状や立地によっては補正計算が必要です。例えば、角地など利便性の高い土地は評価額が高くなりますが、不整形地や間口の狭い土地は評価額が低くなります。
正確な土地の評価は非常に複雑で、税理士によっても評価額が異なることがあります。特に土地が相続財産の大部分を占める場合、正しい評価を行うことで相続税額を大幅に減らすことができます。土地の評価については、相続に強い税理士に依頼することが推奨されます。
2-3. 生命保険金や死亡退職金の非課税枠を活用する
生命保険金や死亡退職金は、亡くなった方の財産ではありませんが、「みなし相続財産」として相続税の対象になります。ただし、相続税の非課税枠として「500万円 × 法定相続人の数」が設定されており、この枠内であれば課税されません。
例えば、法定相続人が2人の場合、生命保険金から1,000万円までが非課税となります。これにより、相続財産の総額を減らすことができ、相続税の負担を軽減できます。
2-4. 未払金・借金・葬式費用を控除する
相続財産には、亡くなった方の借金や未払い金などを差し引くことができます。これを「債務控除」と呼びます。たとえば、亡くなった方が借入金を抱えていた場合、その金額は相続財産から控除されます。また、葬式費用も相続財産の総額から差し引くことが可能です。
このように、未払いの医療費や借入金、葬式費用などを正確に申告することで、相続財産の総額を減らし、相続税を抑えることができます。
3. 税額控除を適用する
次に、税額控除を適用することで相続税額を減額する方法について説明します。相続税の税額控除は、相続人の状況に応じて適用されるものが複数あります。
3-1. 配偶者控除(配偶者の税額軽減)
配偶者が相続した財産については、相続税の課税対象が法定相続分または1億6,000万円まで控除されます。これを「配偶者控除」と言います。たとえ相続財産が基礎控除額を超えていても、配偶者控除を利用することで、配偶者が相続する財産にはほとんど課税されないケースが多いです。
ただし、配偶者控除を利用して遺産分割を行う場合、次に配偶者が亡くなった際に多額の相続税が発生する可能性があります。これを防ぐためには、二次相続まで考慮した計画的な遺産分割が必要です。
3-2. 障がい者控除・未成年者控除
法定相続人の中に障がい者や未成年者がいる場合、相続税額を一定額控除することができます。障がい者の場合、85歳までの年数に応じて「10万円 × 年数」を控除できます。特別障がい者であれば、「20万円 × 年数」が控除されます。
また、未成年者控除は、相続時の年齢に応じて「10万円 × (18歳 – 年齢)」が控除される制度です。
3-3. 贈与税額控除・相次相続控除
亡くなった方から生前に贈与を受けていた場合、その贈与にかかった贈与税は、相続税額から控除されます。この制度を「贈与税額控除」と呼びます。
また、10年以内に2回以上の相続があった場合、最初の相続で支払った相続税の一部を次の相続税から控除する「相次相続控除」も適用されます。
4. 二次相続を考慮して遺産分割を行う
相続は一度で終わるわけではなく、両親のどちらかが亡くなった後、もう一方の親も亡くなる「二次相続」が発生することがあります。この二次相続に備え、一次相続の段階で配偶者控除を最大限に活用すると、次に発生する相続で多額の税負担が発生するリスクがあります。
4-1. 二次相続における税負担の増加
二次相続では、法定相続人の数が減少し、基礎控除額も低くなります。さらに、配偶者控除が使えなくなるため、相続税の負担が大幅に増える可能性があります。例えば、一次相続で配偶者が全財産を相続し、配偶者控除を使って相続税をゼロにした場合、二次相続で子供が全財産を相続する際には、多額の相続税が発生する可能性が高くなります。
4-2. 二次相続を見据えた遺産分割の重要性
一次相続の段階で、二次相続までを見据えて遺産分割を行うことが重要です。例えば、一次相続で配偶者にすべての財産を相続させるのではなく、子供にも一部を相続させることで、トータルの相続税負担を軽減することができます。
まとめ
相続税対策は生前に行うことが理想的ですが、相続が発生した後でも有効な対策がいくつか存在します。小規模宅地等の特例や正確な土地評価、生命保険の非課税枠を活用することで、相続税を抑えることが可能です。また、配偶者控除や税額控除を適用することで、さらに相続税を軽減することができます。
二次相続を見据えた遺産分割も重要なポイントです。一次相続での遺産分割を慎重に行い、トータルの相続税負担を最小限に抑えることを目指しましょう。相続対策は専門知識が必要となるため、相続に強い税理士に相談することをお勧めします。