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相続人不存在とは?財産の行方や手続きの流れについて解説

1. 相続人不存在とその意味

「相続人不存在」とは、被相続人が亡くなった際に、法的に認められた相続人が一人も存在しない状態を指します。この場合、被相続人の財産は国の管理に移行することになります。この状況は、高齢化社会における身寄りのない高齢者が亡くなるケースでしばしば発生し、それによって国庫に帰属する遺産の量も増加しています。実際に、2021年度には相続人不存在によって国庫に帰属した遺産は647億円に達しました。

 

2. 相続人不存在になる具体的ケース

2-1. 法定相続人がいないケース

法定相続人が一切いない状況は、被相続人が未婚で子供がおらず、その他の親族も既に亡くなっている場合に発生します。このような状況は、特に高齢者の中に多く見られ、孤独死として報じられるケースも少なくありません。

2-2. 全員が相続放棄したケース

相続人が法的に存在しても、全員が相続を放棄することで、相続人不存在の状態が成立します。相続放棄は通常、財産が借金を上回るリスクがある場合や、家族間の紛争を避けるために選ばれることがあります。

2-3. 欠格や廃除によるケース

相続人が犯罪行為により相続権を失う場合もあります。これには殺人や遺言書の偽造など、法律に反する重大な行為が含まれます。また、被相続人に対する虐待や重大な侮辱が理由で法定相続人の資格を剥奪されることもあります。

3. 相続人不存在時の遺産の扱い

3-1. 遺言による遺贈

被相続人が遺言を残していた場合、その指示に従って遺産は指定された個人や団体に渡されます。これは友人、介護者、または非営利団体への遺贈が一般的です。

3-2. 特別縁故者の権利

特別縁故者がいる場合、これらの人々は被相続人と特別な関係があったと認められれば、遺産を受け取ることが可能です。これには同居していたパートナーや、被相続人の長期的なケアを提供した人が含まれることがあります。

3-3. 国庫への帰属

遺言がなく、特別縁故者も認められない場合、遺産は自動的に国庫に帰属します。この過程は、相続財産が公的な資金として国によって利用されることを意味します。

4. 相続人不存在の手続きの流れ

4-1. 相続財産清算人の選任

相続財産清算人は、相続人がいないことが明らかになった場合に、裁判所によって指名されます。この清算人は、遺産の管理と分配の責任を負います。

4-2. 公告による相続人の募集

公告は相続財産清算人によって行われ、潜在的な相続人や債権者を探すためのものです。この公告により、未知の相続人が前に出る機会を得ます。

4-3. 債権者の申出期間

この期間中に債権者が遺産からの債権履行を申し立てることができます。これにより、遺産からの債務の清算が行われます。

4-4. 相続人の確定

公告期間後にも相続人が現れなければ、相続人不存在が法的に確定し、遺産は国庫に移されます。

4-5. 特別縁故者による財産分与申立て

特別縁故者がいる場合、彼らは遺産の一部または全部を受け取る権利を主張することができます。

5. 相続人不存在で不動産が含まれる場合の特別措置

5-1. 不動産の登記変更

相続財産法人として登録された後、不動産の登記名義を変更し、市場での売却準備が整います。

5-2. 不動産の売却と国庫への納付

清算された不動産は市場に出され、売却されます。得られた資金は国の財政に寄与されます。

5-3. 共有者の権利確保

不動産に共有者がいる場合、その権利は保護され、適切な処理が施されます。

6. 遺言書の作成の重要性とその影響

遺言書により、被相続人は自己の財産に対する意志を明確に表明することができ、遺言に従った財産の配分が可能になります。これにより、国庫への自動的な帰属を防ぎ、より個人的な希望に基づいた財産の処理が実現します。

7. 相続人不存在に関するよくある質問

行方不明者の扱い

行方不明者は基本的には相続人とは見なされませんが、特定の手続きを経て、その権利を保護することが可能です。これには不在者財産管理人の選任が含まれます。

不動産の共有者と特別縁故者の優先順位

遺産に関する法的な取り扱いにおいては、特別縁故者が優先されることがありますが、これは具体的なケースにより異なります。

債権者の保護

債権者は公告を通じて自身の権利を主張することができ、適切な手続きを経て債務の弁済を求めることが可能です。

まとめ

相続人不存在の状態は、高齢化社会における重要な問題の一つです。個人の財産がどのように扱われるかは、その人の遺志と法的な手続きに大きく依存します。適切な遺言書の準備と、専門家への相談により、自己の財産を意図した形で活用することが確保されます。当事務所でお話を伺うことも可能です。お気軽にお問い合わせください。