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相続税での障害者控除解説:うつ病は対象になる?

相続税法のもとで障害者控除を理解することは、相続税を節税する上で非常に有効です。特に、精神障害や身体障害を持つ方がいる家庭では、適切な控除を受けることで相続税の負担を大きく軽減することが可能です。

 

相続税とは?

相続税は、ある人が亡くなった時にその人の財産を引き継ぐ人が支払う税金です。この税金は、相続する財産の価値に応じて算出され、一定の基準以上の価値がある場合に課税されます。

障害者控除とは?

障害者控除は、相続人が障害者の場合に、その人特有の生活費や医療費などの負担を考慮し、相続税の一部を控除する制度です。この控除には、障害者本人だけでなく、障害者を扶養する人も対象になることがあります。

種類と要件

障害者控除には、「一般障害者」と「特別障害者」の2種類があります。一般障害者は、ある程度の障害を持つ人を指し、特別障害者は、より重度の障害を持つ人を指します。

障害者控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります:

  1. 法定相続人であること
  2. 相続または遺贈により財産を取得したこと
  3. 相続開始日に日本国内に住所があること
  4. 相続開始日に障害者であること
  5. 相続開始日に85歳未満であること

うつ病は対象になる?

うつ病を含む精神障害は、障害者控除の対象になります。うつ病の場合、精神障害者保健福祉手帳の障害等級によって、一般障害者または特別障害者に分類されます。

控除額の計算

一般障害者と特別障害者では、控除額の計算方法が異なります。

  • 一般障害者(85歳-障害者の年齢)×10万円
  • 特別障害者(85歳-障害者の年齢)×20万円

例えば、80歳の一般障害者であれば、控除額は50万円となります。特別障害者であれば、控除額は100万円になります。

うつ病の具体例

うつ病のケースでは、障害者控除の適用を受けることで相続税額が大きく減少する可能性があります。具体例を見てみましょう。

ケーススタディ

ケース①:障害者控除を引ききれた場合

  • 被相続人:Aさん
  • 相続人:75歳のBさん(うつ病で精神障害者保健福祉手帳2級)、Cさん(Bさんの弟)
  • 相続税額:300万円
  • 遺産の分け方:法定相続分に則り均等に分ける

この条件で障害者控除の計算をすると、Bさんは一般障害者に該当します。障害者控除の計算は以下の通りです。

  • 障害者控除額:(85歳-75歳)×10万円 = 100万円

相続税額が300万円の場合、各相続人の納税額は以下のようになります。

  • Bさんの相続税額:(300万円 ÷ 2)- 100万円(障害者控除)= 50万円
  • Cさんの相続税額:(300万円 ÷ 2)= 150万円

ケース②:障害者控除を引ききれなかった場合

  • 被相続人:Aさん
  • 相続人:75歳のBさん(うつ病で精神障害者保健福祉手帳1級)、Cさん(Bさんの弟)
  • 相続税額:300万円
  • 遺産の分け方:法定相続分にのっとり均等に分ける

この場合、Bさんは特別障害者に該当します。障害者控除の計算は以下のとおりです。

  • 障害者控除額:(85歳-75歳)×20万円 = 200万円

相続税額が300万円の場合、各相続人の納税額は以下のように調整されます。

  • Bさんの相続税額:(300万円 ÷ 2)- 200万円(障害者控除)= 0円(マイナスになる場合は0円となります)
  • Cさんの相続税額:(300万円 ÷ 2)+ 50万円(Bさんの控除分の超過分)= 200万円

障害者控除が適用されないケース

障害者控除が適用されないケースも存在します。例えば、以下のような場合です。

  • 相続開始後にうつ病などを発症した場合
  • 相続人が法定相続人ではない場合
  • 海外に居住しており、相続開始日に日本国内に住所がない場合

これらの場合には、障害者控除を受けることはできません。

まとめ

相続税の障害者控除は、適切に利用することで相続税の負担を軽減する強力な手段となります。特にうつ病などの精神障害についても、障害者保健福祉手帳の障害等級に応じて控除を受けることが可能です。

しかし、障害者控除の適用には条件があり、すべてのケースで一律に適用されるわけではないため、個々の状況を正確に理解し、適切な手続きを踏むことが重要です。相続税の計算は複雑であり、特に障害者控除を含む場合はさらに詳細な知識が必要となります。そのため、相続が発生した際には、専門家である税理士に相談することを強くお勧めします。