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タンス預金をこっそり相続するのは危険!その理由とは?

こんにちは、相続に関するお悩みをお持ちの皆さん。相続財産には、預貯金や土地建物のように所有者の情報が何らかの形で登録されているものと、そうでないものがあります。今回は、その中でも特に問題になりやすい「タンス預金」をテーマに解説します。

「タンス預金をこっそり相続したってバレないんじゃないか」と思っている人はいませんか?実はこれが、大変危険なのです。本記事では、タンス預金の基本的な情報から、相続時のリスクと対策までを詳しく解説します。

 

タンス預金とは

タンス預金の定義

タンス預金とは、自宅などに保管してある現金や貴金属などの財産の総称です。昔は現金をタンスに保管することが一般的だったため、この名称が使われていますが、実際には金庫や引き出しに保管されているものも含まれます。

タンス預金の現状

現代では、銀行口座を持つことが一般的ですが、高齢者を中心にタンス預金を行っている人も少なくありません。タンス預金は、本人でさえ全額を把握できていない場合があり、相続時には問題が発生しやすいです。

タンス預金の相続におけるリスク

相続財産から除外するリスク

タンス預金の所有者が亡くなると、そのタンス預金は相続財産の対象となります。問題は、このタンス預金を相続財産から除外してしまうことです。これにより相続税が減少しますが、これは明らかな脱税行為です。

税務署の監視

税務署は常にタンス預金に目を光らせています。特に高額なタンス預金は税務調査で見つかる可能性が高いです。税務署は、預金口座の動きを10年分さかのぼって調査できるため、タンス預金の存在を見抜くことが容易です。

ペナルティ

タンス預金を申告しなかった場合、以下のようなペナルティが課せられます。

  • 延滞税:年7.3%(納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで)、3ヶ月目からは年14.6%
  • 過少申告加算税:50万円まで10%、50万円超は15%
  • 無申告加算税:50万円まで15%、50万円超は20%(申告・納税をしなかった場合)
  • 重加算税:35%~50%(悪質な隠ぺいなどがあった場合)

これらのペナルティは、タンス預金に課税される本税とは別に課せられます。結果的に、本来納めるべき相続税の1.5倍程度を支払うことになる可能性があります。

タンス預金のメリット

1. ATMに行かなくてもお金が使える

タンス預金をしておけば、ATMに行かずにいつでも現金を使える便利さがあります。特に、高齢者にとってはこの点が大きなメリットです。

2. 銀行の破綻リスクがない

銀行が破綻した場合、1,000万円を超える預金は保証の対象外となることがあります。タンス預金であれば、このリスクを避けることができます。

3. 銀行口座の凍結を防げる

相続が発生すると、遺産分割協議が終わるまで銀行口座が凍結され、出金ができなくなります。しかし、タンス預金があれば、葬儀費用や医療費などの支払いに困ることはありません。

4. 国に財産を把握されない

銀行口座は税務署に把握されやすいですが、タンス預金は国に知られることがありません。これにより、プライバシーを守ることができます。

タンス預金のデメリットとリスク

相続税の申告漏れ

タンス預金を相続財産から除外することは違法です。税務署にバレた場合、高額なペナルティが課せられるだけでなく、最悪の場合、刑事告発されることもあります。

時効

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内です。税務署はこの申告期限の翌日から最長7年間は税を徴収する権利があります。タンス預金の申告漏れがバレると、その期間中は常に税務調査のリスクにさらされます。

防犯リスク

タンス預金は物理的な保管場所が必要であり、盗難や火災などのリスクがあります。特に高額な現金を自宅に保管することは、安全面で大きな問題となります。

タンス預金の管理と対策

適切な保管方法

タンス預金を持つ場合は、防犯対策として金庫を使用することが推奨されます。また、火災対策として耐火金庫を使用することも有効です。

税務申告の適切な対応

タンス預金も相続財産として正しく申告することが重要です。相続税の申告において、タンス預金を含めた全財産を正確に計上しましょう。

専門家への相談

タンス預金の管理や相続税の申告について不安がある場合は、税理士や相続の専門家に相談することをおすすめします。専門家は適切なアドバイスを提供し、トラブルを未然に防ぐサポートをしてくれます。

まとめ

本記事では、タンス預金の基本情報から、相続時のリスクと対策までを詳しく解説しました。タンス預金は便利な面もありますが、相続時には慎重に扱わなければならない資産です。

タンス預金をこっそり相続することは違法であり、高額なペナルティが課せられるリスクがあります。相続税の適正な申告と適切な管理が重要です。

相続に関する疑問やお困りごとがございましたら、当事務所へご相談ください。専門家のアドバイスを受けることで、安心して相続手続きを進めることができます。