超富裕層が対象? ミニマムタックスの概要と2025年からの影響を徹底解説
2024年11月01日
2025年から導入されるミニマムタックスは、年間合計所得が30億円以上の超富裕層を対象にした新しい税制です。金融所得が主な収入源の場合、10億円以上の所得でも対象になります。このコラムでは、ミニマムタックスの背景、仕組み、そして今後の影響について詳しく解説します。
ミニマムタックスとは
ミニマムタックスは、2022年の「令和5年度税制改正大綱」に盛り込まれた課税措置の一つです。この制度は、富裕層の税負担の公平性を確保するために導入され、家計資産を「貯蓄から投資へ」と促すことも狙いとしています。具体的には、所得が高い層に追加の税負担を求めることで、税制の不公平感を是正し、社会全体のバランスを整えます。
ミニマムタックスの仕組み
この制度では、以下の条件で追加の課税が行われます。
- 年間合計所得30億円以上
- 金融所得が10億円以上の場合も対象
- 控除額3.3億円
- 税率22.5%
計算方法は、次の通りです。
(合計所得金額 - 3.3億円) × 22.5% - 通常の所得税額 = 追加納税額
例えば、所得が60億円の場合、通常の税額が9億円であれば、ミニマムタックス適用後には12億7,575万円の納税が求められ、差額3億7,575万円が追加納税額となります。
なぜミニマムタックスが導入されるのか
国内の「1億円の壁」
日本では所得が1億円を超えると、金融所得の割合が増加し、税負担率が下がる現象が問題視されてきました。給与所得に対する最高税率が45%である一方で、金融所得は一律15%で課税されるため、富裕層の実質的な税負担が軽くなってしまいます。
国際的な調和
他国でも同様の現象が見られます。例えば、イギリスやフランスでは所得税の最高税率が45%ですが、金融所得への課税はそれより低く設定されています。日本はこうした国際的な流れに対応するため、ミニマムタックスを導入します。
ミニマムタックスの対象と除外される所得
対象者は、純金融資産が5億円以上、または年間合計所得が30億円以上の人です。金融所得が多い人は、年10億円以上の所得でも対象になります。
除外される所得には、NISAやエンジェル税制による非課税所得、源泉分離課税の所得などがあります。エンジェル税制はスタートアップへの再投資を促すもので、こうした投資に対する税制優遇が適用されます。
ミニマムタックスの影響と対応策
ミニマムタックスによって超富裕層への課税負担が増加します。以下の対応策が有効です。
- NISAやエンジェル税制の活用:非課税枠を活用し、所得の一部を課税対象から外す。
- 海外投資の検討:国内の課税リスクを回避するための一手段。
- 専門家への相談:税理士に相談し、最適な税務プランを立てることが重要です。
税務手続きと税理士に依頼する場合の費用
ミニマムタックスの適用後は、通常の確定申告と同時に、追加納税額を計算して申告します。税理士に依頼する場合、以下の費用が目安です。
- 相談料:5万円~
- 申告代行費用:20万円~50万円
- 資産管理・節税対策:50万円~100万円
まとめ
ミニマムタックスは、超富裕層に対する税負担を強化するための新たな税制です。所得格差の是正が期待される一方で、対象者にとっては負担が増します。そのため、NISAやエンジェル税制を活用し、資産運用と節税対策を練ることが重要です。専門家への早めの相談が、安心した資産管理のカギとなります。