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相続資産で子供の教育をサポートする方法は?

相続資産を活用して子供の教育をサポートする一つの手段が「教育資金贈与」です。この記事では、教育資金贈与の概要と注意点について解説します。

 

1. 教育資金贈与(教育資金一括贈与)とは?

直系尊属から30歳未満の直系卑属へ、教育資金を一括贈与する場合、受贈者1人あたり最大1,500万円までが贈与税の非課税となる特例です。この制度を利用することで、子供や孫の教育費を最大1,500万円まで、非課税で前渡しできるわけです。

教育資金贈与は、金融機関を通じて行われます。金融機関が贈与者から預かった資金を管理し、教育資金が必要になる度に受贈者に払い戻しを行います。

1-1. 適用期間と延長

教育資金贈与は時限措置で、現在は令和8年3月31日まで延長されています。ただし、税制改正により、贈与者死亡時の相続税の課税関係が複雑になっているため、注意が必要です。

2. 非課税対象となる教育資金

教育資金贈与の対象となるのは、学校等に直接支払われる金銭と、学校等以外の者に直接支払われる金銭です。例えば、学校の授業料や習い事の費用などがこれに該当します。

2-1. 学校等に対して支払われる金銭

最大1,500万円までが非課税となります。具体的には、入学金、授業料、施設設備費などが含まれます。

2-2. 学校等以外の者に対して支払われる金銭

最大500万円まで非課税となります。例えば、習い事の費用や留学の渡航費などが含まれます。

3. 改正の注意点

教育資金贈与は、税制改正によって贈与者の死亡時の課税が複雑化しています。特に、拠出時期により、贈与者の死亡時に一定の管理残額が相続財産として加算されるケースや、相続税の2割加算が適用されるケースがあります。

4. 教育資金贈与を利用する際の判断基準

教育資金贈与を利用するかどうかを判断する際、以下の3つの基準を考慮することが重要です。

4-1. 相続税の節税効果

教育資金贈与を利用する主な目的は相続税の節税です。相続税の計算には多くの要素が影響するため、専門家に相談することを推奨します。

4-2. 受贈者の年齢や在学状況

受贈者の年齢や在学状況によって、教育資金贈与の効果が変わります。特に、受贈者が既に一定の年齢を超えている場合や、贈与者の寿命によっては、教育資金贈与の利用が適していない場合があります。

4-3. 贈与する金額

教育資金贈与の金額は、贈与者の資産状況によっても左右されます。教育資金として大きな金額を一括贈与する場合、贈与者の将来の資金計画にも影響を与えるため、慎重に判断する必要があります。

5. 教育資金贈与の手続き方法

教育資金贈与の手続きは金融機関を通じて行われます。領収書や払い戻し請求書の提出期限も決まっていますので、これらの管理は金融機関が行います。

6. まとめ

教育資金贈与は相続税の節税効果が期待できる制度ですが、最近の税制改正によりその運用が複雑になっています。教育資金贈与を検討する際は、受贈者の年齢や在学状況、贈与者の年齢を考慮し、専門家のアドバイスを仰ぐことが重要です。当事務所では、教育資金贈与に関する相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。