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慈善活動と相続ってどう関係してるの?

相続と慈善活動の結びつき

相続は多くの場合、相続税の発生を伴います。特に、法定相続人が1人の場合、3,600万円以上を相続すると相続税が課税されます。このような状況で、相続税を納税する代わりに慈善活動への寄付を検討する方がいます。この寄付は、特定の認定NPO法人や国、自治体に行うと、寄付金額が相続税の課税対象外となる場合があります。この方法は、社会貢献と税制上のメリットを兼ね備えた選択肢として注目されています。

 

寄付の流れ

ステップ1:情報収集

寄付を検討する際は、まず寄付先の団体に関する情報収集が不可欠です。団体が信頼できるものか、活動内容が寄付者の意向に合致しているか、また税制優遇を受けることができるかを確認することが重要です。多くの団体では公式ウェブサイトやパンフレットを通じて情報提供を行っており、遺贈寄付に関する専用の資料を提供している場合もあります。

ステップ2:寄付先の選定と連絡

寄付先を決定したら、団体へ直接連絡を取ります。この際、相続財産からの寄付であることを伝えることが重要です。それにより、寄付者の意向や故人の願いを反映させた支援の提案を受けることができる場合があります。また、相続税申告に必要な領収書の早期発行など、手続きをスムーズに進めるためにも、この段階でのコミュニケーションは不可欠です。

ステップ3:寄付実行と税務申告

相続財産を寄付した後は、相続税の申告が必要です。寄付先から発行された領収書を添付し、相続税申告を行うことで、寄付した財産は非課税となります。また、確定申告を通じて所得税の寄付金控除を受けることも可能です。これにより、税金面でのメリットを最大限に活用することができます。

寄付のメリット

メリット1: 相続税の非課税

相続税の申告期限内に特定の団体へ寄付を行うことで、寄付金額が相続税の非課税対象となる可能性があります。ただし、寄付を行う前に財産を売却して現金化した場合、この特例は適用されません。

メリット2: 所得税の寄付金控除

寄付を行った場合、相続人自身の所得税において寄付金控除を受けることが可能です。この控除は、国や地方公共団体、特定公益増進法人への寄付で適用されるため、確定申告が必要になります。この制度を活用することで、寄付者個人の税負担を軽減することができます。

注意点

注意点1: 節税効果の限界

寄付による節税効果は必ずしも高くはありません。寄付額に相当する節税が期待できるものの、寄付した金額が手元から減ることを考慮すると、全体的な資産の減少は避けられません。したがって、節税だけを目的とした寄付は慎重に検討する必要があります。

注意点2: 遺言書による寄付の取り扱い

遺言書による寄付は、非課税対象外となる場合があります。被相続人の意思に基づいて行われる寄付は、相続人の意志によるものとは見なされないため、税制上の特例が適用されないことがあります。遺贈寄付という形を選択することで、この問題を解決することができます。

注意点3: 相続税の申告義務

寄付により相続税が非課税となった場合でも、相続税の申告は避けられません。税務署に対して寄付による非課税を通知し、必要な手続きを行うことが必要です。

まとめ

相続財産の寄付は、社会に対する貢献と税制上のメリットを同時に享受できる手段です。しかし、寄付の流れや税制上の扱いには注意が必要です。相続財産の寄付先を決定する際には、団体の信用性や活動内容、税制優遇の有無をしっかりと検討することが大切です。当事務所では、相続財産の寄付に関するアドバイスやサポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。