自動車を相続したら?知っておきたい手順5つ
2024年06月01日
最近では、高齢になると運転免許証を返納する人が増えていますが、そのタイミングで自動車を処分せずに持ち続けるケースも少なくありません。そのため、亡くなった方の相続財産の中に自動車が含まれていることはよくあります。相続財産の中に自動車が含まれており、相続税が発生する場合には、相続税の申告・納付が必要です。本記事では、自動車を相続する際に必要な手続きについて詳しく解説します。
自動車を相続する場合に必要な手続き
自動車を相続した際に行う主な手続きは、自動車の所有者の名義変更です。手続き自体はそれほど難しくありませんので、相続人自身で行うことも可能です。手続きの大まかな流れは次のとおりです。
1. 自動車の名義人(現所有者)を確認する
まずは、自動車の名義人、つまり現在の所有者が誰であるかを確認します。現在の名義人は、自動車検査証の「所有者の氏名又は名称」の欄に記載されています。相続の場合、通常は被相続人が名義人になっているはずです。
2. 自動車の相続人(新所有者)を決定する
次に、その自動車を誰が相続するのかを決定します。被相続人に遺言があって自動車の相続先が指定されている場合はその人が相続しますが、遺言がない場合は相続人全員の協議によって決定します。この協議を「遺産分割協議」といいます。
3. 遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議によって相続人間で遺産の分け方を決めた場合、その内容を遺産分割協議書として書面にまとめます。遺産分割協議書は相続財産の名義変更手続きに必ず必要です。自動車を誰に相続させるのかも記載します。
4. 手続きに必要な書類を準備する
手続きに必要な書類を揃えます。必要な書類は、普通自動車と軽自動車の場合や、普通自動車でも査定金額によって異なりますので、詳細は次の項で説明します。
5. 運輸支局(陸運局)で名義変更手続きを行う
準備が整ったら、相続人(新所有者)が必要書類と実印を持参して、管轄する運輸支局(陸運局)に行き、手続きを行います。申請する時期は、所有者変更の事由があった日から15日以内と法律で定められています。
自動車の名義変更に必要な書類
名義変更手続きに必要な書類は以下の通りです。
普通自動車の場合
- 自動車検査証(有効期間のあるもの)
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸(除)籍謄本(3か月以内のもの):【被相続人の本籍地の市区町村】
- 相続人全員の戸籍謄本(3か月以内のもの):【相続人の本籍地の市区町村】
- 相続人(新所有者)の印鑑登録証明書(3か月以内のもの):【相続人の住所地の市区町村】
- 遺産分割協議書
- 相続人(新所有者)の車庫証明書:【保管場所を管轄する警察署】
- 自動車の保管場所が変わらない場合は不要
軽自動車の場合
- 自動車検査証(有効期間のあるもの)
- 相続人(新所有者)の住民票の写し又は印鑑登録証明書(3か月以内のもの):【相続人の住所地の市区町村】
- 相続人(新所有者)の車庫証明書:【保管場所を管轄する警察署】
- 自動車保管場所が変わらない場合は不要
自動車の名義変更を依頼する場合
自動車の名義変更手続きを自分で行うことが難しい場合、第三者に依頼することもできます。
自動車ディーラーに依頼
自動車ディーラーに名義変更手続きを代行してもらうことが可能です。多少の費用はかかりますが、必要な書類を揃えれば手続きを代行してもらえます。また、名義変更手続きだけでなく、相続税の申告における財産評価でも、業者に自動車の査定金額を算出してもらうことができます。
司法書士などの専門家に依頼
司法書士などの専門家に依頼すれば、名義変更手続きだけでなく、遺産分割協議書の作成や必要書類の収集も対応してもらえます。土地・家屋などの不動産、預貯金や有価証券など相続財産全般の名義変更手続きもまとめて任せることができます。ただし、費用は自動車ディーラーに比べて高額になる可能性があります。
自動車を相続しない(第三者に譲渡する)場合の手続き
相続人が自動車を相続せずに第三者に譲渡する場合も、基本的な手続きの流れは同じです。遺産分割協議書に譲渡の旨を記載し、新たな所有者が以下の書類を提出します。
- 代表相続人の印鑑登録証明書(3か月以内のもの):【代表相続人の住所地の市区町村】
- 譲渡証明書(代表相続人の実印を押印したもの):【国土交通省・運輸支局】
まとめ
自動車を相続する際には、所有者の名義変更手続きが必要です。この他にも、相続税の申告・納付が必要な場合や、自動車保険の名義変更手続きなどもあります。これらの手続きを相続人が全て自分で行うことは可能ですが、時間や手間がかかります。まずは専門家に一度相談することをおすすめします。
相続に関するご相談やご不明点がございましたら、ぜひ当事務所へご相談ください。