税理士に頼むといくら? 相続時精算課税制度の申告方法と費用の目安を解説
2024年11月01日
相続時精算課税制度を活用することで、生前贈与を上手に使い、相続税の負担を軽減することができます。この制度は、60歳以上の父母や祖父母が、18歳以上の子や孫に対して生前贈与を行う際に適用できる仕組みです。最大2,500万円までの贈与が非課税で行えることに加え、2024年からは年110万円の基礎控除が追加され、さらに利用しやすくなりました。今回は、相続時精算課税制度の概要や申告手続き、税理士に依頼した場合の費用について解説します。
1. 相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度とは、贈与額の合計が2,500万円までは非課税となり、それを超える部分に一律20%の税率で贈与税が課せられる仕組みです。この制度は、贈与者が亡くなった際に贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算し、支払った贈与税との差額を精算するという特徴を持っています。これにより、生前に大きな資産を移転することが可能になります。
ただし、暦年課税制度(毎年110万円まで非課税の贈与)のように後から制度を切り替えることはできないため、慎重な選択が求められます。
2. 相続時精算課税制度の申告手続き
この制度を利用する場合、初回の贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書と「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要があります。申告方法は以下の3つです。
- 窓口申請:税務署に直接持参
- 郵送申請:必要書類を郵送で送付
- 電子申告(e-Tax):オンラインで申請
3. 必要書類とその準備方法
相続時精算課税選択届出書を提出する際には、以下の書類を準備します。
- 贈与税申告書
- 第一表:受贈者の情報、贈与額を記入
- 第二表:贈与財産の明細を記載
- 受贈者の戸籍謄本または抄本
- 受贈者が18歳以上であることや贈与者との関係を証明
4. 贈与者が亡くなった場合の精算
贈与者が亡くなった場合、その時点で相続財産に贈与分を加算して相続税を計算します。すでに支払った贈与税が多ければ差額が還付され、逆に少ない場合は不足分を納める必要があります。
5. 税理士に依頼する場合の費用目安
税理士に贈与税の申告を依頼する場合、一般的な費用の目安は以下の通りです。
- 基本的な贈与税申告:5万円~15万円
- 相続時精算課税選択届出書の作成:3万円~10万円
- 書類収集や追加手続きの代行:別途費用
事務所によって費用が異なるため、事前に見積もりを依頼し、納得した上で依頼しましょう。
6. 相続時精算課税制度の注意点
一度この制度を選択すると、暦年課税に戻すことができません。また、贈与額が2,500万円を超えた場合、20%の贈与税がかかります。さらに、相続時には贈与額を相続財産に加算して再計算するため、相続税の負担が予想以上に大きくなる可能性もあります。
専門家と相談しながら計画的に進めることが重要です。
まとめ
相続時精算課税制度は、将来の相続を見据えた有効な制度ですが、一度選択すると暦年課税に戻せないため、事前の慎重な判断が必要です。制度を適切に活用することで、贈与税と相続税の負担を軽減することができます。
ただし、手続きが複雑なため、税理士に相談することをお勧めします。税理士のサポートを受けることで、必要書類の準備や申告手続きをスムーズに進めることができるだけでなく、適切な節税対策も講じることが可能です。相続や贈与に関する悩みがある場合は、早めに専門家に相談し、計画的な対策を立てましょう。