一覧に戻る

相続の対象となる財産と対象にならない財産の違いとは?

Q.父の葬儀費用を父の貯金から支払いました。葬儀費用は、相続の対象となる

 財産なのでしょうか。何が相続の対象となる財産なのかを教えてください。

 

A.相続財産に含まれるものには、預貯金や不動産、負債などがあります。
 葬儀費用は例外的に相続人全員の合意があれば、相続財産からマイナスで

   ます。ただし、葬儀に必要ないものは葬儀費用に該当しないので注意しま  

 しょう。

 

原則として、相続財産に含まれるのは、以下の条件を満たすものです。

●被相続人が亡くなった瞬間に被相続人が所有している財産などの権利義務(負債も含む)
●被相続人の一身専属的な権利義務ではない権利や義務、地位など

葬儀費用は、通常は被相続人が亡くなった後に発生するため、相続財産には含まれません。しかし、葬儀を行うことは社会通念上当然のことと考えられています。相続人全員の合意があれば、葬儀費用は例外的に相続財産に含まれ、相続財産からマイナスすることが認められています。
二つめの『一身専属的』とは、その人以外に替えがきかない権利や義務のことです。たとえば、被相続人
が所有している預貯金や不動産は、相続財産の対象です。預貯金や不動産は誰でも所有することができるため、一身専属的とはいえないからです。

一方、被相続人が学校の教師をしていた場合、『教師』という地位は相続されません。これは、『教師』
という地位は、替えがきかないからです。配偶者としての地位、親権者としての地位なども同様です。
また、受取人が決められている財産は受取人固有の財産となるため、相続財産とはいえません。たとえば、妻を受取人として指定している被相続人の生命保険金がこれにあたります。
しかし、被相続人が相続人を受取人として指定した保険金は、民法上では相続財産になりませんが、相続税を計算するときに財産として含まれます。こうした民法と税法の違いにも留意しながら、相続財産に含まれるものと含まれないものを選別していくことが重要です。