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相続した家、名義変更を忘れていませんか? 放置が引き起こすリスクと早めの対策法

相続で家を引き継ぐ際、多くの人が名義変更を後回しにしがちです。例えば、夫が亡くなった後も妻がそのまま家に住み続け、名義は夫のまま放置されるケースもよく見られます。しかし、名義変更を怠ると、さまざまなリスクが発生する可能性があります。本記事では、名義変更を行わないことで生じるリスクとその対策法について、詳しく解説します。

 

1. 相続した家の名義変更とは?

不動産の所有者は法務局で管理される登記簿に記録されており、所有者が亡くなった場合には、その不動産を引き継ぐ相続人が名義変更の手続きを行う必要があります。この手続きが「相続登記」と呼ばれるものです。例えば、夫名義の家を妻が相続する場合、法務局で登記を変更し、夫から妻に名義を移す必要があります。

以前はこの手続きが任意でしたが、2024年4月1日から法律により義務化されました。これにより、相続した家の名義変更は、相続人が必ず行わなければならない手続きとなりました。

2. 名義変更をしないことで生じる6つのリスク

2-1. 違反による過料

2024年4月の義務化に伴い、相続した家の名義変更を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。取得から3年以内に登記を完了させることが求められており、手続きの知識不足や怠慢は正当な理由とはみなされません。

 

2-2. 売却や担保に利用できない

名義が変更されていない不動産は、売却や担保に使うことができません。家を売却したい場合や、融資を受けるために家を担保に入れる際には、必ず名義変更を行う必要があります。

 

2-3. 第三者による売却や差し押さえのリスク

相続人が複数いる場合、一人の相続人が他の相続人の協力を得ずに相続登記を申請し、自己の持分を第三者に売却したり担保に入れることが可能です。また、相続人の債権者が登記を申請して持分を差し押さえることも考えられます。

 

2-4. 管理責任と納税義務

名義が変更されていなくても、家の管理責任や固定資産税の納税義務は相続人全員に生じます。家が放置され老朽化した場合、倒壊や火災のリスクが高まり、被害を与えた場合には賠償責任を負う可能性もあります。

 

2-5. 固定資産税の増加

管理されていない空き家が自治体によって「特定空き家」に認定されると、固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されず、税額が大幅に増える可能性があります。

 

2-6. 相続人の増加による手続きの複雑化

長期間名義変更を行わずに放置すると、相続人が増え、権利関係が複雑化する可能性があります。相続人が増えることで手続きが困難になり、全員の同意を得るのが難しくなる場合もあります。

 

3. 相続登記の流れ

  1. 遺言書の確認
    亡くなった人が遺言書を残している場合、その内容に従って名義変更を行います。
  2. 必要書類の収集
    戸籍謄本や住民票、固定資産税評価証明書などの書類を準備します。
  3. 遺産分割協議
    相続人全員で話し合い、財産の分割方法を決定します。
  4. 登記申請書の作成
    必要書類が揃ったら、申請書を作成し、法務局に提出します。
  5. 登記申請
    窓口、郵送、またはオンラインで申請を行います。
  6. 登記識別情報通知の受領
    登記が完了すると、登記識別情報通知(権利証)が交付されます。

4. 名義変更で失敗しないためのポイント

4-1. 早めの手続きが肝心

名義変更を後回しにせず、公共料金の名義変更などと同じタイミングで取りかかりましょう。

 

4-2. 専門家への依頼も検討

手続きが複雑で不安な場合は、司法書士に依頼するのも一つの手です。手続きの専門家に任せることで、スムーズな名義変更が可能になります。

 

5. 名義変更にかかる費用

  • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%
  • 証明書の発行手数料:5000円〜1万円程度
  • 司法書士報酬:5万〜15万円程度

6. 名義変更に関するよくある質問

Q. 母が亡くなるまで父名義のままにしておいても問題ない?
名義変更を怠ると、3年以内に過料が科される可能性があるため、早めの手続きをお勧めします。

Q. 名義変更後、母が住み続けることはできる?
名義変更後も居住に問題はありませんが、母が安心して暮らせるよう「配偶者居住権」を設定する方法もあります。

まとめ

相続した家の名義変更は、法律上の義務であり、怠ることでさまざまなリスクが生じます。特に、過料の発生や、手続きが複雑化するリスクを避けるためにも、相続登記は早めに行うことが重要です。不安な場合は、司法書士などの専門家に相談し、適切な手続きを行いましょう。