あなたの配偶者と子どもの遺留分、正しく理解していますか?
2024年08月01日
遺留分とは、被相続人の意思に関わらず法律によって保障された、一定の相続人が受け取ることが保証されている最低限度の遺産の割合です。これにより、遺言があっても、配偶者や子どもなどの特定の相続人は最低限の遺産を受け取ることができるようになっています。この記事では、遺留分の基本的な知識と、それを守るための手続きについて解説します。
1. 遺留分とは
遺留分は、遺言であっても侵すことのできない相続人の最低限の権利を指します。法律で定められた相続人(配偶者、子ども、親など)が、最低限受け取るべき遺産の割合を保証するものです。
1-1. 遺留分の対象となる相続人
遺留分の保護を受けることができるのは、直系卑属(子どもや孫)、直系尊属(親や祖父母)、配偶者です。これらの相続人は、遺留分を主張することが可能であり、遺言で全てを他の人に遺贈しても、一定の割合を請求できます。
1-2. 遺留分の割合
遺留分の割合は、法定相続分の一定割合とされています。直系卑属と配偶者の遺留分は法定相続分の1/2、直系尊属の遺留分は法定相続分の1/3です。これにより、遺言によって不公平な遺産分割がされた場合でも、一定の保護を受けることが可能です。
2. 遺留分侵害とその請求
遺言により遺留分が侵害された場合、侵害された相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。これは、侵害された遺留分相当額を金銭で請求する手続きです。
2-1. 遺留分侵害額の計算方法
遺留分侵害額は、遺留分権利者が受け取るべき遺産総額から実際に受け取った遺産額を差し引いた額として計算されます。計算には遺産の評価が必要となりますが、これには不動産鑑定士などの専門家が関与することが一般的です。
2-2. 遺留分請求の手続き
遺留分の請求は、遺留分権利者が遺産分割協議で解決できない場合、法的手続きを通じて行われます。まず、相続人間での話し合いを試み、それが不調に終わった場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停が成立しない場合には、訴訟に移行することが可能です。
3. 遺留分の放棄とその効果
遺留分は放棄することができますが、この放棄は被相続人の生前に限られ、法的な手続きを要します。放棄が有効であるためには、放棄する相続人が家庭裁判所に申し立て、裁判所の許可を得る必要があります。放棄後は、遺留分請求権を行使することはできなくなります。
まとめ
遺留分は、遺言で全てを他の人に遺贈しても、法定相続人が一定の遺産を受け取ることができるように法律で保護されている権利です。この権利を適切に理解し、必要に応じて遺留分請求を行うことで、不公平な遺産分割から自身の権利を守ることが可能です。遺留分の問題に直面した場合は、専門家に相談することをお勧めします。